長方形のテーブルに椅子が6つ置いてあって、
足と足の間が短いところにコノンボの息子が座り、
息子の左手側にコノンボ、右手側に恐ろしく美しいコノンボの妻が座っている。
コノンボの妻は山の湧き水みたいに透明感のある、大変な美貌の持ち主だが、
天使のように無口で、いつも家族の会話を優しい顔で見守っている。
いつも息子から話しだすが、その時も息子が会話の口火を切った。
「ねぇ、パパ?なんで人間の体温は36℃くらいなのに、気温が36℃くらいのときに、暑いと感じるの?」
「それはね」とコノンボはチョコレートの唐揚げを食べながら言った。「暑いと感じる部分が体の内側にじゃなく、外側にあるからなのだよ。自分の体温をいちいち暑いと感じていては、人生お先真っ暗だろ?息子?」
「パパって、馬鹿なの?そうじゃないよ、僕が言ってるのは。体温が36℃くらいの状態で体が健康的に保てるなら、外の気温が36℃であってもそれを“暑い”と自分自身に警告する必要はないってことだよ。36℃は体にとってむしろ適温のはずでしょ?」
「なるほどね。ごめんな、お父さんはリュウタが望むような回答を持ち合わせていない。調べておくよ」
息子のリュウタは“お願いね”と言い、
ウーパールーパーのどて煮をおいしそうに食べた。
「ねぇ、パパ?じゃあ、なんでマイケルジャクソンは死んだの?」
「マイケルはね、いいやつすぎたのだよ。でもマイケルの音楽は死にゃあしない」
「じゃあ、じゃあ、パパのお兄さんや、パパのパパや、パパのママは今どうしてるの?会いたいよ」
「そうか、会いたいか。そういえば、パパの親や兄弟のことはほとんど何も話していなかったな。じゃあ今日は、パパの兄さんの話をしようか」
「うん、聞きたい!」と息子はウーパールーパーの目玉だけ口から出して言った。
「パパの兄さんはね、ものすごく頭が良くてね、どんな職業に就くのか、誰もが注目していた。弁護士になるのでは、真新しい事業を始めるのでは、国会議員になるのでは、といろいろと噂されていた。でも今から20年前にね、ポツリと姿を消したのだよ。突然だ。父さんも何も知らないし、当時同じ大学に通っていた人たちもはっきりと理由がわからない。どうして突然兄さんは消えたのか。兄さんは頭がきれすぎて、一部の人間からは狂人と思われていたけど、その一部の人間いわく、気がおかしくなって山にこもった、とか、韓国目指して日本海に飛び込んだ、とか、自害した、とか・・・・・・色々言われていた。でも父さんは兄さんを信じていたから、熱心に情報を集めて真実を知ろうとした。その結果」
「その結果?」
「目的はわからないが、どこかの山にこもっているらしい。20年前にこもり始めたのはおそらく確かで、今もこもっているのかどうかはわからない。兄さんが住んでいたアパートは解約され、家具のすべてはアパートの近くの家具屋に売られていた。きれいさっぱり。でも車は売られた形跡がなくて、税金はちゃんと規定の日にひかれている。他の税金もおそらくそうだ」
「お兄さんの名前はなんて言うの?」
「ヴィンセントだよ」
「ふーん。きっと今も生きてると思うよ」
「なんでだい?息子?」
「僕にはわかるんだ!」
「そうかい。リュウタが言うなら本当かもな。だったらうれしいよ」
コノンボの妻は水晶みたいに優しく微笑んで、頷いた。
本当に、水晶が笑ったみたいだった。
足と足の間が短いところにコノンボの息子が座り、
息子の左手側にコノンボ、右手側に恐ろしく美しいコノンボの妻が座っている。
コノンボの妻は山の湧き水みたいに透明感のある、大変な美貌の持ち主だが、
天使のように無口で、いつも家族の会話を優しい顔で見守っている。
いつも息子から話しだすが、その時も息子が会話の口火を切った。
「ねぇ、パパ?なんで人間の体温は36℃くらいなのに、気温が36℃くらいのときに、暑いと感じるの?」
「それはね」とコノンボはチョコレートの唐揚げを食べながら言った。「暑いと感じる部分が体の内側にじゃなく、外側にあるからなのだよ。自分の体温をいちいち暑いと感じていては、人生お先真っ暗だろ?息子?」
「パパって、馬鹿なの?そうじゃないよ、僕が言ってるのは。体温が36℃くらいの状態で体が健康的に保てるなら、外の気温が36℃であってもそれを“暑い”と自分自身に警告する必要はないってことだよ。36℃は体にとってむしろ適温のはずでしょ?」
「なるほどね。ごめんな、お父さんはリュウタが望むような回答を持ち合わせていない。調べておくよ」
息子のリュウタは“お願いね”と言い、
ウーパールーパーのどて煮をおいしそうに食べた。
「ねぇ、パパ?じゃあ、なんでマイケルジャクソンは死んだの?」
「マイケルはね、いいやつすぎたのだよ。でもマイケルの音楽は死にゃあしない」
「じゃあ、じゃあ、パパのお兄さんや、パパのパパや、パパのママは今どうしてるの?会いたいよ」
「そうか、会いたいか。そういえば、パパの親や兄弟のことはほとんど何も話していなかったな。じゃあ今日は、パパの兄さんの話をしようか」
「うん、聞きたい!」と息子はウーパールーパーの目玉だけ口から出して言った。
「パパの兄さんはね、ものすごく頭が良くてね、どんな職業に就くのか、誰もが注目していた。弁護士になるのでは、真新しい事業を始めるのでは、国会議員になるのでは、といろいろと噂されていた。でも今から20年前にね、ポツリと姿を消したのだよ。突然だ。父さんも何も知らないし、当時同じ大学に通っていた人たちもはっきりと理由がわからない。どうして突然兄さんは消えたのか。兄さんは頭がきれすぎて、一部の人間からは狂人と思われていたけど、その一部の人間いわく、気がおかしくなって山にこもった、とか、韓国目指して日本海に飛び込んだ、とか、自害した、とか・・・・・・色々言われていた。でも父さんは兄さんを信じていたから、熱心に情報を集めて真実を知ろうとした。その結果」
「その結果?」
「目的はわからないが、どこかの山にこもっているらしい。20年前にこもり始めたのはおそらく確かで、今もこもっているのかどうかはわからない。兄さんが住んでいたアパートは解約され、家具のすべてはアパートの近くの家具屋に売られていた。きれいさっぱり。でも車は売られた形跡がなくて、税金はちゃんと規定の日にひかれている。他の税金もおそらくそうだ」
「お兄さんの名前はなんて言うの?」
「ヴィンセントだよ」
「ふーん。きっと今も生きてると思うよ」
「なんでだい?息子?」
「僕にはわかるんだ!」
「そうかい。リュウタが言うなら本当かもな。だったらうれしいよ」
コノンボの妻は水晶みたいに優しく微笑んで、頷いた。
本当に、水晶が笑ったみたいだった。






